
世の中の変化は世間の欲求とプロダクト、使いこなせる人の3つの組み合わせとマッチング
何か製品やサービスといったプロダクトを完成させたからといって、世の中が変わることは滅多にありません。
世の中の欲求よりも早めに出てしまったプロダクトは一過性に終わってしまいます。
たとえば、平賀源内がエレキテルを発明(正確には入手したものを復元)しても当時の人々には、珍しい見世物としての認識で終わっています。
もし、世の中が変わるきっかけを一つ挙げるとしたら、組み合わせです。
拙書「ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門」では、「第5章 異質なものを組み合わせる」でも紹介しています。……さり気なく宣伝を挟んでみました(笑)
話を戻して、世の中が変わるきっかけです。
世間の欲求がたまたまプロダクトと合致しており、お手本になる使いこなした人がいるというタイミングでしょう。
こういうマッチングのことを時代とも表現しますね。時代に合っているとか時流に乗るというわけです。うまくいけば時代の寵児といわれます。
現在、時代の寵児であるスマートフォンも、大容量バッテリーの小型化、節電回路、タッチパネル、通信アンテナなど、ベースとなる技術が出揃ったところで組み合わされたものです。
これが外でもインターネットを気軽に使いたいという時代に合致する。
その結果、耳に当てる携帯電話という文化から画面を観るスマートフォンという文化に世の中が変わったのです。
現在は各社が競って作るのはスマートフォンばかりとなり、新製品の携帯電話はお目にかかれません。
プロダクトから、お手本となる人に目を向けます。時代の寵児といえば、2020年に「うっせいわ」で一躍トレンドを席巻したAdoさん。
従来の歌手デビューまでの手順をひっくり返してしまいました。
オーディションに合格し、プロダクションに所属して、お金をかけて宣伝してもらって、CDデビューしても売れず、地方巡業するうちようやく売れて……こうした手順をすっ飛ばし一気にスターに躍り出ました。
Adoさんが何かを表現したい、歌を聞いて欲しいという欲求がどんどん高まったとき、たまたまユーチューブが存在していたということになります。
ユーチューバー。
小学生のなりたい職業ランキングに登場してはや数年。Adoさんに刺激を受けた未来のスターが、次々と登場するでしょう。

時代とプロダクトのアンマッチで残念だった「セカンドライフ」
一方で早過ぎて時代に合わなかった例もあります。
日本でも2007年ころ、メタバースの元祖であるセカンドライフのサービスインなどはその一例でしょう。
セカンドライフは、リンデンドルという仮想通貨を使った土地売買で一億円の値がついたことでいっぺんに有名になりました。電通が音頭を取ったことでフジテレビ、東芝EMIと三越やパルコにセシール、トヨタや日産も出店が相次ぎ華やかなものでした。
ところが、日本語は使えるもののベースはあくまでも英語であること。また、どうやらつくられたブームではないか? という側面が見え隠れしたため日本人のアクティブユーザーは増えませんでした。
セカンドライフ自体は現在もサービスを継続しているものの、日本では忘れ去った過去の遺物という認識です。
その後、任天堂の「あつまれどうぶつの森(あつ森)」など日常を主体としたメタバースが登場します。あつ森では、プレイヤーは動物アバターとなり、森の日常を過ごします。好きなことをして遊ぶうちに自然に仲間が増え、気軽な会話からもリフレッシュできる。かわいいい動物アバターとの会話なので、癒やされる。ギスギスした現実とは違う居心地のよさがウケて一時は品薄になるほどの人気でした。
そうした、土壌も醸成されたところで、メタバースは再び盛り上がります。
2021年にフェイスブックは、社名をメタ・プラットフォームズ(Meta)に変更しました。メタバースへの期待の現れでしょう。
研修業界が求めてたもの
研修業界でもZOOMを代表とする額縁型のオンラインに変わるものを模索しています。
額縁型オンラインは、一方的に知識を詰め込む研修ならベストマッチです。
しかし、コミュニケーション中心の発想研修やプロジェクト研修にはいまいちなのです。
額縁型オンラインは、目くばせして特定の人だけに話そうなんてできません。常にカメラ目線を意識して話すテレビタレントと同じ振る舞いを強いられます。
そうしたコマゴマとしたカメラ映りの注意点を指導するオンラインマナーすら登場しています。
どのような規模でもオンラインになると、衆目を一気に集めます。慎重に言葉を選びながら発言する。緊張を強いられるプレゼンテーションです。
もし、話の流れに反論しようものなら、強固な理論武装が必要となります。これでは、ホンネを隠して表面的な予定調和になりやすい。「そうじゃないけれど……」と思いながらも同調圧力に流されてしまう。

特定の人と内輪話。ホンネを気軽に語れる仮想空間があらわれた
言葉を慎重に選ばなくても許してくれる、気兼ねないホンネで話せる場があると安心できます。安心できてリラックスした状態になると、常識を外れた自由な発想を生みやすい。実際、気軽な内輪話つまり雑談から、アイデアが生まれます。喫茶店や居酒屋などで気兼ねなく語り合っている時「あれ、これ良いこといっている?」と自分でも驚くような発想をした経験ありませんか?
居酒屋まで再現は難しいまでも、雑談できるオンラインツールは? オンライン会議機能のブレイクアウトセッションは? 近いけれど、少人数で会話できるようにブレイクアウトルームをつくって「さあ、雑談してください」といっても、何を話せばいいのやら。
やっぱり自然に雑談を促すツールが欲しい。
現実に寄せて相手との距離に応じて声が大きくなったり小さくなるようなツールさえあれば……。そんな機能があるオンラインツールは見つからない。
いっそのこと、あつ森を研修に? しかし、会社でゲームを公認というといろいろとハードルが高い。
そうして、模索していたところにFrameVRに出会ったのです。
お目当てのアバターとの距離に応じて、声が大きくなったり小さくなる。
見た目で先入観に惑わされないようアバターもシンプル。だから、アバター選びにも悩まなくていい。
参加者が誰だかわからないようにニックネームつけて話してもいい。声バレするかもしれないけれど、会話がはずめば、いつのまにかホンネを語っている。
なにしろ、FrameVRは、特殊なアプリをインストールせずに使えます。会社で使っているPCでOK。普及しているChromeブラウザでそのまま使える。
おまけに気がついたこと。FrameVRを研修で使うと「ながら」ができません。
「ながら」とは、額縁型オンラインでゲームをしながら参加したり、ユーチューブを見ながら参加したり。研修は遅めの受講者に合わせるので、余裕の受講者は手が空いてしまうのです。
FrameVRを使う研修では数人と雑談を交えて3D空間を歩き回ります。すると移動操作をしながらなので、別の「ながら」までは気が回せません。
ようやく、雑談できる研修ツールの欲求とプロダクトとしてのFrameVRが組み合わさったのです。
あとは、お手本となる使いこなせる人を待つだけ。
いま、なんとか、使いこなせる人になるように、研修で使う練習しているところです。
世の中が変わるきっかけは組み合わせ 変わるきっかけ 世の中
創客営業研究所
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仮想空間プラットフォーム「FrameVR(FRAME)」の特徴
ラテラルシンキング新入社員研修:バーチャル研修
創客営業研究所
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2021-11-8
前回は、内定者フォローのためのオンライン研修「バーチャル3D空間 SDGsクエスト」の実行環境としての「FrameVR」を紹介した。選択した理由は「適切なテンプレートが用意されていること」と「空間カスタマイズの余地があること」の2点である。 詳細は < https://www.soeiken.net/News/view/soeiken/8 >。 今回は「FrameVR」とはなにかの基本情報を記したい。 FrameVRは、アメリカのIT企業Virbera社 < https://www.virbela.com > の研究チームが開発している仮想空間プラットフォームである。現在はβ版のテスト運用であり、近いうち正式リリースが予定されている。 FrameVR(正式名は「FRAME」)のホームページ < https://learn.framevr.io > には「Webブラウザーから直接、3D環境でのコミュニケーションとコラボレーションが容易になります(原文は英語)」と記されている。 稼働環境は以下のとおりである。 ・Webブラウザーとインターネット環境 → 利用者側の端末に専用アプリケーションは不要である。 ・マルチデバイス対応 → パソコン(Windows、Mac)、スマホ/タブレット(Android、iOS)、またはVRゴーグル(Oculus)が使える。 ・基本機能のみ利用ならアカウント登録不要 → URLさえ知っていればFrameVRユーザアカウントを作成しなくてもよい(デモを見せたいときは、匿名ゲストを受け入れるような使い方も可能)。 繰り返しになるが、専用アプリケーションのインストールが不要であり、かつVRゴーグルがなくても3D仮想空間上でアバターを動かせるツールは今日時点では少ない。その上、ノンプログラミングで個別の用途や目的に照らし合わせた「空間カスタマイズができる」のがFrameVRの特長なのだ。
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研修でFrameVR(FRAME)を選ぶ理由=仮想空間のカスタマイズが決め手
ラテラルシンキング新入社員研修:バーチャル研修
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2021-12-9
FrameVRの開発元企業のプロジェクトリーダーは元教師です。FrameVRを使って欲しい相手は教師や講師をはじめ、企業の人事部の研修担当者など人材育成に関わる人たちです。 仮想空間での授業や研修をより効果的に実施・運営したいと願う人たちに対して「自ら、より手軽に、意思を表現できる」場と道具を提供したい。近い将来の人材育成の場になるだろうから。 FrameVRにはそうしたポリシーが貫かれているのです。彼のこれまでの発信内容や提供されてきた空間テンプレートをみればそれは明らかです。 さて、前回までのブログでFrameVRの強みや選択した大きな理由として、「適切なテンプレートが用意されていること」と「空間カスタマイズの余地があること」の2点を挙げました。今回のブログでは空間カスタマイズの余地についてお伝えします。 世の中には仮想空間を構築・カスタマイズできる開発ツール類は様々あります。 その開発ツールの中でもFrameVRは、ノンプログラミングでありながら空間カスタマイズの自由度で一歩リードしています。 以下、ざっくりと、世の中にある「手軽な」仮想空間プラットフォームをカスタマイズの観点で4つに分類してみましょう。 ※高度な技術知識を持っている特定の人たちだけが使える開発ツール類と、アバター関連のカスタマイズ機能に関しては対象から外します。 ◆仮想空間プラットフォームのカスタマイズ4分類 (1)そもそもユーザ(管理者アカウントも含む)は空間をカスタマイズできない(=仮想空間に入り、空間内に予め用意されているツールやオブジェクトを利用するだけ) (2)ユーザ(同上)は空間の「見た目」を少しだけ変更できる(例えば、決められたスペースに画像を貼り付けて、「見た目」を変更する程度) (3)ユーザ(同上)は空間を自由に「デコレーション」できる(ただし、オブジェクトを配置するだけで「見た目」の変更に留まる) (4)ユーザ(同上)は様々なオブジェクトを空間に配置し、さらにオブジェクトに「動作(イベント)」を設定できる(=「見た目」に留まらず、空間内の「動線」もデザインできる) FrameVRは上記(4)に該当します。「見た目」のカスタマイズに留まらず、空間をコンテンツ(伝えたい中身)に近づけるカスタマイズこそが重要なのです。つまり、教育(人材育成)の利用シーンでは、講師が受講者に対し、知識と体験、気づき、ヒント(きっかけ)を与えられるチャンスが増えるからです。
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ロジカルシンキングが行き着いたマニュアル至上主義の弊害
ラテラルシンキングとは:新しい考え方
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2021-8-5
マニュアル至上主義の弊害をお話する前に、そもそも論の話をしましょう。 交通ルールを例に取りましょう。 そもそも、車が一台も通っていない誰もいない歩道なら、信号無視してもいいんじゃない? ということです。 信号ってそもそも、どういう目的であるのかを考えれば良いのです。 交通ルールを守るため? ……じゃないです。 ルールを守るのは、事故を起こさないためです。
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経営者の視点と社員の気付き
ラテラルシンキング新入社員研修:教えない新人研修
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2023-3-1
経営者の視点と社員の気付きの違いについて。 かれこれ30年以上も昔の話です。 当然のことながら昭和と令和の時代によって働き方に違いはあります。 現在の常識とは違っているでしょう。 その差異を踏まえて、ここでお話するエピソードが、あなたの仕事の参考になるかならないかを取捨選択して読んでください。 私の務める会社では、一週間に2回位、午前中だけ出社する通称「ゴルフおじいさん」がいました。 ゴルフおじさん。 普段は何をやってるかと言えば、他社の人とゴルフです。 当時の私は20代でしたから、おじいさんといっても50代だったのかもしれません。 ゴルフ焼けでしょうか、黒い顔で専用のデスクで新聞やら雑誌を読んで、会社のおエライさんと雑談してお昼を食べて帰るのです。 仕事といえば、これだけです。当時の私から見れば、サボっているようにしか見えません。
【お問い合わせ】
FrameVRの使いこなしにお手伝いしていただける方がいらっしゃいましたら、お気軽に「お問い合わせページ」< https://www.soeiken.net/Inquiries/inquiry> よりご連絡下さい。
たくさんの問い合わせがありますので「FrameVRお手伝い」とお問い合わせ内容にお書き下さい。お待ちしております。