研修の余談は集中力を持続させる。読書法などは興味深く聞いてくれる。
数年前になりますが、テレビ関係者と話していたことを紹介します。
海外のドキュメンタリーを日本で放送するときの苦労話です。
日本の民放各社では、海外のドキュメンタリーを輸入して放映しています。
BSなどでは字幕を付けてそのまま放映していますが、地上波では、地上波ならではの工夫がいるのですって。BSはBS設定をしなければ見えませんからそれなりの知識のある人が見ます。
地上波は、お年寄りから子供まであらゆる人が見ます。
地上波で日本向けにローカライズした放映を見ていて気づくのは、お笑い芸人や新人俳優などにコメンテーターとして並でいるという点。
30分番組を60分に引き延ばすために使うという目的です。
長い番組はCMを入れる回数が増えるのでスポンサーを集めやすくなります。
引き伸ばす以外にも理由があります。
テレビ関係者に言わせると、薄めるためだとか。
原液が濃いと付いてこられない視聴者がいる(という表現をしていました)。
だから、薄める、と。
濃すぎる情報を薄めて飲みやすくする。
難しい番組だと濃くて飲み込むまでに時間がかかるのです。
それなのに、番組はどんどん進んでしまってコアの視聴者しか付いていけない。
食後の後片付けをしながらといった、ながら仕事を中に眺める視聴者もいるのです。
真剣に見るような番組は、どうしても視聴率が悪い。
NHKのEテレなど夜11時頃から放映するドキュメンタリーは、視聴率は良くないと思いますね。
余談ですけれど、わたしが講師を務める研修では、相手の顔(表情)を見ながら話題のレベルをリアルタイムで微調整しています。
いくつかの話を振ってみて表情を見るのです。
興味深そうな表情なら当たり。うわの空なら別の話題に変えます。
落語家も演目が決まっていない出し物では、何を話すか決める前に話を振って試すのだとか。
本題の前に話をするのでマクラというそうです。
研修でも、マクラを使い受講者の興味がありそうな話題を探ります。
受講者の顔をリアルタイムで見られるからできる手法です。
話を戻して、地上波では情報を薄めるという話。
リアルタイムでもなしに不特定多数を相手にするテレビでは、落語と違ってマクラは使えません。
Twitterなどで反応を見ることはできますが、投稿する人はあくまでも行動する人だけです。
大多数の人は見ているだけ。
つまらなければ、投稿などせず、指先一つで一瞬でチャンネルを変えられてしまいます。
基本は、できるだけ、かんたんに、わかりやすく。
ちょっとでも難しいと、すぐにチャンネルを変えられてしまうからだと。
ながら仕事で、ちょっと見逃しても、付いてこられるように何度も同じシーンを流す。
小学生でも分かるように、内容を噛み砕だく。
字幕を入れて重要ですよという演出をする。
次のシーンは、意外ですよ! 思わぬ展開ですよ! 驚きますよ! と何度でも予告する。
難しそうなら、コメンテーターが視聴者の代わりに疑問や感想を言ってインターバルを置く。
こうした工夫を凝らして、ようやくテレビを見続けてくれるそうです。
同じように研修でも、工夫をしています。
コメンテーターはいませんから、受講者に当てて発言してもらうことでインターバルを置きます。
他にも、余談を入れることで、情報を飲み込みやすくできます。
余談を入れることで意識を切り替え、集中力を持続させています。
説明が続いて受講者がダラけてきたら、余談を入れるのです。
雰囲気が変わるので、集中が途切れそうになっている意識も、完全に緩和側にスイッチされる。
ダラダラと聞けるので、緊張緩和にもなります。
授業中ではありますが、聞き逃しても構わない話題なので脳にとっては軽い休憩状態。
というように、テレビと同じように研修の途中に、余談を挟むことで、本番に向けて集中力を持続させる工夫をしているのです。
では、研修中に具体的にどんな、余談を話しているかといえば……
読書法など。
今回は、研修の余談で話している、本の読み方を紹介します。
いろいろな人と読書談義をしていると、どうやら、私の本の読み方は人と違うようなのです。
まず、どのような読み方があるか、分類してみましょう。
本の読み方の四分類。
便宜上、番号を振っていますけれど、1ほうが偉いとか4が良い悪いというわけではありません。
1 知識を得るため
2 楽しみ
3 シミュレーションとして
4 答え合わせ
普通の読書法
1 知識を得るため
調べ物をしたり、シンプルに知識を得る手段です。多くの学習はこの方法でしょう。
2 楽しみ
頭を休める、心の栄養補給。これも普通の読書の方法だと思います。
1と2をあわせてノウハウを小説にした書籍もあります。上の写真の書籍は、楽しみながら知識を得て学べるので一石二鳥です。
早川書房「ひらめく人の思考術」物語で身につくラテラル・シンキング
紀伊國屋書店のウェブサイトにジャンプします。
https://www.kinokuniya.co.jp/disp/CSfGoodsPage_001.jsp?CAT=08&GOODS_STK_NO=9989303061
シミュレーションとしての読書法
3番めは、シミュレーション読書法です。
特に歴史小説などで、もし自分がその立場ならどう行動するか。
シミュレーションするのです。
歴史を読んで面白いのは立場の違いで判断が大きく違うという点です。
主人公とライバルの心情をシミュレーションすると、なぜ、敵対するかといった構図がより理解できて面白いのです。
この読書法あたりからは、経営者の思考法ともリンクしています。
ソフトバングの孫正義さんは、司馬遼太郎の「竜馬がゆく」を愛読書に挙げています。
あまりにも好きすぎて、ソフトバンクのシンボルマークは坂本龍馬が率いた海援隊の旗印をモチーフにしているそうです。
詳しくは"ソフトバング 海援隊"で検索すると公式ホームページが出てきます。
答え合わせ読書法とは
4つ目の答え合わせ読書法。
私の本の読み方です。
他人にいわせると、この読み方は珍しいそうです。
具体的なわたしの読み方を紹介すると。
世の中の謎や、興味を持ったことを考えます。
普通は、考える時間がもったいないので、すぐに調べるという人が多いそうです。
でも、あえて、ネットや本で答えを探さずに、まずは自分で考えます。
対象の大小に応じて1週間などと制限時間を設けて考えます。集中できる時間さえ確保できれば、わずか20分でもいいのです。
制限時間いっぱい考えたら、その後に専門の解説書を読み、先に自分で考えたことが書籍と同じか、違っていたとしても、どれくらいズレを確認します。
とりわけ、歴史書などはその時にどうなったのか、後年の我々から見れば、当時代の選択が正しかったのか誤りなのかが明らかなのです。
しかも、そも場、その時としては正しかったけれども、もっと長い目で見たら間違っていたという歴史的なケースも検証できます。
専門書も誤ることがあります。後年になってから新事実が発見されて、誤りだったことが明らかになります。誤りだと分かるまでの過程も勉強になります。
答え合わせには、もう一つの楽しみがあります。
私は古書が好きです。とりわけ、誰かが線を引いた古本は面白い。
ああ、前の持ち主は個々が刺さった箇所なのかと、思いを馳せるとニヤニヤしながら読めます。
まとめ
研修は集中力が途切れないように適度に余談を入れるといい。
読書の方法を4つ紹介。
1 知恵を得るための読書
2 楽しみのための読書
3 シミュレーションとしての読書
4 答え合わせのための読書
研修の余談で話している読書法 研修 読書
創客営業研究所
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