コミュニケーション下手にはコンテンツ多様化の影
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コミュニケーションが下手になった現代人と多様化の罠
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ここから本題。
ふと、現代社会において、人と人との間のコミュニケーションがどこかぎこちなく、表面的になっているのではないかと感じることがある。雑談が弾まない、相手の考えていることが分からない、あるいはそもそも何を話せばいいのか見当もつかない。こうした「コミュニケーション下手」とも言える状況は、21世紀に入り、特に顕著になってきたように思える。その遠因の一つに、私たちの周りに溢れるコンテンツの爆発的な多様化があるのではないだろうか。
かつて、情報源が限られていた時代には、人々は自然と共通の話題を共有していた。例えば1970年代、家庭にテレビが一台あれば、家族は同じ番組を囲み、翌日には学校や職場でその話題に花を咲かせた。新聞や雑誌も、数少ない情報源として多くの人が目を通し、社会の出来事や流行に対する共通認識が形成されやすかった。
かつてはNHK紅白歌合戦の歌詞をみんな知っていた
象徴的なのは、年末のNHK紅白歌合戦だろう。テレビとラジオで同時中継され、多くの国民が同じ時間に同じ歌を聴き、その歌詞や歌手について語り合った。それは、世代を超えて共有できる数少ない「お約束」のエンターテイメントであり、一種の国民的行事として機能していた。そこには、共通の体験から生まれる一体感や、会話のきっかけが豊富に存在していたのだ。
しかし、時代は移り変わる。技術の進歩は、まずテレビを安価にし、各部屋に一台、あるいは一人一台という状況を生み出した。ソニーのウォークマンが登場すれば、音楽は「みんなで聴くもの」から「一人で楽しむもの」へと変化し、個人の趣味嗜好に合わせた音楽選択が当たり前になった。この頃から、共通の話題の土壌は少しずつ狭まり始めていたのかもしれない。
分岐点は1995年か?
決定的な変化は、1995年以降のインターネットの急速な普及、そしてYouTubeに代表される動画共有プラットフォームの登場によってもたらされた。テレビチャンネルの多局化も進み、人々は文字通り無限とも思えるコンテンツの海の中から、自分の好きなものだけを選んで視聴するようになった。アルゴリズムは個人の好みを学習し、さらにパーソナライズされた情報を提供する。これは一見、個人の自由な選択を尊重する素晴らしい環境のように思える。しかし、その一方で、隣にいる人が昨日何を見て、何に感動したのか、全く知る由もないという状況が生まれている。
きのうのアレ面白かった? が通じない。
共通の話題が見つけにくくなれば、会話の糸口を掴むのは難しくなる。かつては「昨日のあのドラマ見た?」の一言で始まった会話も、今では相手がそのドラマを知っている可能性すら低い。さらに、現代社会はプライバシーに対する意識が非常に高まっている。相手の個人的な領域に踏み込むことへのためらいは、趣味や関心事といった、かつては雑談のきっかけとなり得た情報を尋ねることさえ難しくしている。行き過ぎたプライバシー保護が、コミュニケーションの障壁をさらに高くしている側面は否めないだろう。
まとめ
このように考えると、コンテンツの多様化と、それに伴う個人の趣味嗜好の細分化は、確かに私たちのコミュニケーション能力に静かな、しかし確実な影響を与えているように思える。選択肢が増え、個人の自由が拡大したことは喜ばしい。だがその代償として、私たちは他者と共感し、心を通わせるための共通の土壌を少しずつ失いつつあるのかもしれない。コミュニケーションとは、突き詰めれば「共有」の体験なのではないだろうか。同じものを見聞きし、同じように感じ、あるいは異なる感想を交換する。そのプロセスが、コンテンツの洪水の中で見失われつつあるとしたら、それは現代社会が抱える一つの大きな課題と言えるだろう。私たちは、この多様化した世界の中で、新たなコミュニケーションの形を模索していく必要があるのかもしれない。
現代人がコミュニケーション下手になったのは、行き過ぎた多様性化?
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